- December 10, 2006
- Category: ポエム・日誌の書庫
セバスチャン登場
セバスチャンは何としても私の言いつけを受け付けようとはしなかった。
私は彼が私とともに地下迷宮へ行くというのに対して
『しかし、私は君が故郷に残るからこそ安心して旅立てるのだ。
それに君の歳になって故郷を離れるのはつらいだろう』と答えるのが常だった。
『それに、君は私を護衛するというけれどアンタを見ただけで魔物が逃げ出すという風にも見えないね』
するとセバスチャンは私を館の中庭に連れ出した。
そこは花壇になっていて庭の端が石垣で仕切られていた。
彼はその石垣の前に身につけていた銀のメダルを置いた。メダルには故郷の守護聖人が浮き彫りにされていた。
彼はそこから50歩離れると、雑嚢から小銃を取り出し、装填し、狙って、引き金を引いた。
轟音とともに銀のメダルは消し飛んだ。
彼はそのよじれた銀の破片を私に差し出した。
『ほら、もう故郷は影も形もない。私はあなたについて行くしかないのですよ』
私はさすがに驚きの色を隠せなかった。
『いったい、君はどこでこんなことを身につけたのだ?執事の君が!』